仲居(なかい)とは、主に旅館や料亭で給仕や接待をする女性の職業を指します。
仲居の一般的なイメージといえば、やはり旅館。
日本の伝統的民族衣装とも言える着物を身にまとい、美しい言葉遣いと作法で宿泊客をもてなす姿が浮かぶでしょう。
しかし、インターネットが普及した今作、実際に仲居を経験した人の"リアル"な声を覗いてみると、そこには様々な酷評が見受けられるのも事実。
「激務だった」「作法が厳しい」「着物の着付けが難しすぎる」「女将(あるいは先輩仲居)がうるさい」「女性の職場なので人間関係がドロドロしている」…
私はリゾートバイトで15ヶ所以上もの旅館で働いた経験を持ちますが、今までに、仲居を始めて1週間足らずで根を上げて辞めた女性を見たことがあります。
では、リゾートバイトにおける仲居の仕事の"本当のところ"は、一体どんなものなのか。
ネット上で書かれているように、大変なことばかりなのでしょうか。
そこで、このページでは仲居の仕事に興味を持っている方に
- 仲居の1日と仕事内容
- 着物の種類
- 人間関係
- 仲居求人の効率的な探し方
を詳しく紹介していきます。
(男性仲居の体験談はこちらから⇒男だけど仲居として働いてみた!驚かれることもあるけど、男の方がメリットが多い)
このページだけで仲居の仕事の全てを把握できるようにしたので、仲居の仕事に興味がある方は是非参考にして頂ければと思います。
実際にどんな仲居求人があるのかは、以下の仲居求人が多いリゾートバイト派遣会社より確認可能です。
>>>仲居の求人が多いリゾートバイト派遣会社【アルファリゾート】
仲居の1日と仕事内容
旅館によって、食事時間やチェックイン・チェックアウトの時間に若干の差異はありますが、仲居の1日は以下のような流れで構成されています。
- 7:00 出勤/着物に着替える
- 7:30 朝食準備(配膳)
- 8:00〜10:00 朝食
- 10:00 朝食の後片付け
- 11:00 お客様のお見送り(チェックアウト)
- 12:00 昼休憩
- 13:00 午後勤務スタート
- 14:00 お客様のお出迎え(チェックイン)
- 16:00 夕食準備
- 18:00〜21:00 夕食
- 21:00 夕食の後片付け
- 22:00 退勤
リゾートバイトの実働時間は8時間が基本なので、出勤の7時から退勤の22:00まで通しで働くことはありません。
早番(例:7時出勤で16時あがり)か遅番(例:13時出勤で22時あがり)のどちらかに振られるか、中抜けシフト(例:7時出勤で11時になったら一旦中抜け→18時から再出勤して22時あがり)になる場合もあります。
7:30 朝食準備(配膳)
朝食準備では「一汁三菜」を基準に、各料理を膳に並べて朝食会場に運びます。
一汁三菜とは、お膳に料理を並べる時の定位置です。以下のような決まりがあります。
- ご飯は手前の左側
- 味噌汁は手前の右側
- 副々菜は一番奥
- 副菜は奥の左側
- 主菜は奥の右側
お膳に料理を並べたら、お客様が待つ朝食会場へ一斉に運んでいきます。
朝食は1日の始まり。お客様が爽やかな朝を向かえられるよう、ニッコリと笑顔で「お待たせいたしました」と声をかけて朝食会場に入りましょう。
11:00 お客様のお見送り(チェックアウト)
お帰りになるお客様が「また来たい」と思ってくれるよう、笑顔で挨拶します。
この見送りは、旅館関連のあらゆる本で「お客様を印象付ける大切な要素」と書かれるほど重要な仕事です。
旅館によっては、まだ配膳室で朝食の後片付けをしている途中でも、きちんと整列して見送りするほど。
お見送りは「お客様が見えなくなるまで」と言われることもありますが、実際には引き際を考えます。
ずっと玄関に止まっている必要はありません。
先輩の様子を見て、徐々に引くタイミングを覚えていきましょう。
13:00 午後勤務スタート!客室の備品管理と担当の確認
午後からの仕事は、各客室の浴衣やタオル、アメニティ等の備品チェックから始まります。
旅館には「番付」と呼ばれる大きな表に客室と担当名が記入されるので、自分がどの部屋のお客様を担当するのかを確認しましょう。
旅館によって異なる場合もありますが、新人の頃はグレードの高い部屋の担当につくことは少ないです。
仕事が上出来になればなるほど、グレードの高い部屋を担当する傾向にあります。
リピーターのお客様には、前回担当した仲居が付くことになるので、今回担当するお客様に「またあなたに担当してもらいたい」と思ってもらえるような対応を心がけたいですね。
14:00 お客様のお出迎え(チェックイン)
チェックイン時間が近くなったら、ロビーに並んで一斉にお客様をお出迎えします。
きちんと一礼して、「ようこそいらっしゃいました」を笑顔で言うことを意識しましょう。
自分が担当するお客様がチェックインしたら、お部屋に案内してお茶出しです。
お茶出しをする時、お客様の中には仲居の物珍しさからじ〜っとこちらを見る人もいるので(悪気があるわけではない)、最初は結構緊張します。
抹茶の点て方は、研修時に先輩から教わります。
茶筅(ちゃせん)を縦に切るように素早く動かして上手に点てましょう。
礼儀正しくお出迎えすることも大切ですが、まずは「親しみやすい」と思ってもらえるよう笑顔を意識すると良いです。
また、お客様の中に、用意している浴衣以上(以下)の身長の方がいたら、自分からサイズを聞いて浴衣をお持ちしましょう。
笑顔と気配りの2つがあれば、お出迎えは大成功です。
16:00 夕食準備 & 夕食
仲居の仕事で一番忙しいのが夕食準備と夕食です。
時には100名以上の団体客の夕食を準備するので、調理場の板長と献立を確認して、宴会会場を準備して…とバタバタします。
調理場と夕食会場を、何度も小走りで行ったり来たりするので体力勝負です。汗をかきます。
また、旬の素材や地元の食材を使った自慢の料理を1品1品運んでいくので、お客様から「この料理は何?」と聞かれることも珍しくありません。
「本日市場から届いたばかりの新鮮な秋鮭です♪」と、流暢な説明ができるよう事前に献立をしっかり確認しておきましょう。
夕食はお酒も出します。
男性のお客様の中には「可愛いね〜」と冷やかしてくる方もいますが、嫌な顔はせずに「とんでもないです。ありがとうございます」と流せる器を持っておきたいですね。
21:00 夕食の片付け→退勤
夕食が終わったら一斉に片付けを行って1日の仕事は終了です。
仕事の後はプライベートの時間になるのですが、最初の1週間くらいは疲れで何もできず、自室に戻ったらすぐ眠りにつく生活が続くでしょう。
仲居の仕事は体力勝負でありながら、気疲れもします。
しかし、嬉しいことにリゾートバイトでは無料で温泉を利用できます(勤務先が温泉旅館の場合)。
激務の後は、温泉でゆっくり体を癒して翌日に備えましょう。
着物の種類
仲居と言えば着物ですが、実は着物には以下3つの種類があります。
- 本式着物
- 二部式着物
- 作務衣(さむえ)
リゾートバイトで仲居として働く際、雇用先によって着用する着物の種類が異なるので、働く前に各着物の特徴を把握しておくと良いでしょう。
着物の種類によって着用の難易度が異なるので要注意です。
以下で詳しく解説していきます。
本式着物
本式着物とは、一般的にイメージされている着物です。
最近では、着付け合理化のために、後述する「二部式着物」を採用している旅館が増えましたが、一流と言われる高級旅館では、まだまだ本式着物を採用している場所も見受けられます。
本式着物で苦戦するのが着付けです。
着付けは、専門の着付け師や着付けを教える学校もあるくらいなので、苦手な人は1時間は平気でかかる場合もあります。
もちろん、リゾートバイトでは着付けの方法を教えてもらえますが、まずは以下の着付けの手順をご覧になってみましょう。
着物の着付けは、下に着る長襦袢(ながじばん)と、上に羽織る着物に分かれています。
↓長襦袢の着付け
↓着物の着付け
もし、自分に着付けは難しそうと思ったら、後述する二部式着物を採用している旅館で働くのがベターです。
求人のどこを見たら着物の形式が分かるかは、さらに後半で後述しているので、お見逃しなく。
二部式着物
二部式着物とは、本式着物の着付けを腰のリボンを結ぶだけで着られるよう簡略化した着物です。
見た目には本式着物と何ら違いはありませんが、飲食店の制服としても採用されているくらいなので誰でも着れます。
リゾートバイトにおける旅館求人の中にも、二部式着物を採用している旅館は多いので、本式着物の着付けが心配な方は二部式着物の旅館で働くのがおすすめです。
作務衣(さむえ)
作務衣は、居酒屋の制服などに採用されている和テイストの作業着です。
見た目は仲居とは程遠いですが、「仕事内容に興味があって着物は何でもいい」という方は、作務衣着用の旅館で働いても良いでしょう。
作務衣も二部式着物同様に、誰でも着られる簡単な服なので着付けの心配はいりません。
ちなみに、男性が旅館で働く場合は、どこの旅館でも作務衣着用が基本です。
仲居の人間関係
仕事内容と同じくらい気になるのが、仲居の世界における人間関係ですよね。
女性が中心となるポジションですから、イジメや厳しい年功序列に懸念を抱いている方は少なくないでしょう。
実際のところ、「若い」「新人」という理由でキツイ仕事を押し付けるような、ガチガチの縦社会ではないので安心して下さい。
雇用側は一般的な会社です。
シフト構成や仕事の配分に問題があると、たちまち評判がガタ落ちしてしまうので、新人であってもベテランであっても平等に扱ってくれます。
ただ、先輩仲居の中には、仲居一筋20年以上という人もザラにいらっしゃいます。
こうしたベテラン勢は、仲居の仕事に多大なるプライドを持っていて、リゾートバイトで来た人に対して「どうせ3ヶ月程度で去っていく短期アルバイト」と軽く見ている人も少なからず存在します。
そのため、先輩から仕事を教えてもらう時は「きちんと返事をする」「メモを取る」などして、真面目な姿勢を見せましょう。
ベテラン勢は、新人がミスを犯すことより、「仲居の仕事を舐めている」と思われる行動に過敏に反応します。
とは言え、仕事を一生懸命頑張っているという姿勢が認められたら、その分打ち解けるのは早いです。
意外にも、女性だらけで派閥があったりドロドロしている世界ではなく、職人気質でサバサバしていて、男性社会に近い世界とイメージしておきましょう。
仕事さえ一生懸命頑張ってさえいれば必ず認めてもらえますし、早い段階で気の合う仲間も見つけられます。
男だけど仲居として働いてみた!驚かれることもあるけど、男の方がメリットが多い
仲居と言えば女性のイメージこそ強いですが、実は温泉旅館では男性の仲居も珍しくありません。
リゾートバイトの求人においても、【男性】との記載こそないものの、応募することは可能です。
(ただし、「女将」と書かれている求人においては完全に女性のみの募集)
男性の仲居も仕事内容や基本的なスケジュールは上述した内容と同じです。
ただ、男性仲居は良い意味で宿泊客から驚かれます。そして、職場内でも力仕事を優先的に任されはするものの、良い意味で気をつかってもらえて居心地が良いです。
男性というだけで宿泊客との会話が盛り上がる
宿泊客を部屋へ案内したり、お茶入れをすると必ず「男性の仲居さんて珍しいですね」と声をかけてもらえます。
お茶入れをした時も「ご丁寧にありがとう」と、当たり前のことをしたまでなのに感謝してもらって何だか得した気分。
言葉の裏には、全て(男性なのに素晴らしいですね)が含まれていて、全く悪い気がしません。
宿泊客の方から色々と声をかけてくれるので、沈黙になることも少なくて会話を進めやすいです。
力仕事は率先して男性が行う
ただ、大きな旅行バッグを持ったり、旅館に届く重たい備品などは率先して男性仲居が持ちます。
これは致し方ない点。さすがに女性に任せきりにしておくことはできません。
デメリットを挙げるとすればそのくらいでしょうか。
人間関係も良好。男性仲居には穏やかな人が多い
働く旅館によって多少異なる場合もありますが、概ね男性には先輩の男性仲居が仕事を教えてくれます。
男性で仲居を始める人には穏やかな人が多く、正直行って女将の方が恐いです。厳しい女将に当たった新人がミスを怒られて泣いているのを見かけたこともあります。
しかし、男性グループは穏やか。女性同士の厳しい世界を横目に、淡々と協力し合って仕事を進められます。
私の男性先輩仲居は仲居15年の大ベテラン、61歳の方でしたが、言葉遣いも態度も穏やかで小まめに休憩を取らせてくれたりで楽に働けます。
女性だと「仲居としての美しさ(お辞儀の仕方や歩き方など)」も少々厳しく言われますが、男性にそういった厳しさはありません。
そのため、男性の方が何かとメリットが多く、ストレスを感じることなく働けるというのが正直な印象です。
旅館の規模にもよりますが、男性仲居と女性仲居の割合は男性3:女性7といったところ。
同性の友達を作りやすい環境とは言えませんが、女性とは仲良くなりやすいです。
「男性でも仲居ってできるの?」という疑問を持っている方、安心して下さい。メリットの方が多いので、むしろ躊躇なく始めてしまって大丈夫です。
仲居求人の効率的な探し方
仲居のリゾートバイト求人を探すには、以下のようなリゾートバイト専門の派遣会社を利用するのがおすすめです。
例)
こうしたリゾートバイト求人を専門的に扱う派遣会社であれば、手が空いた時に探せますし、勤務地や待遇の絞り込みが簡単にできます。
各派遣会社の特徴詳細については、以下の記事を参考にどうぞ。
>>>2024年のリゾートバイトおすすめ派遣会社【厳選7社】リゾバ歴5年以上の専門家が徹底比較。
上記派遣会社の中でも、特に温泉旅館求人や仲居求人に力を入れているアルファリゾートは、もっともおすすめの派遣会社です。
数あるリゾートバイト派遣会社の中でも、最も仲居求人が多いです(常時300件近く)。
また、北海道と沖縄をのぞけば、どこの求人も平均時給1,100円以上と高額設定なのも魅力的。
加えて、各求人に着物の形式も記載されているので、仲居初心者でも安心して求人を検索できます。
(各求人には温泉入浴可否も記載されています。要チェック)
そのため、仲居の求人を探すのであれば、まずはアルファリゾートから見てみることを強くおすすめします。
アルファリゾートに掲載している仲居の求人は他の派遣会社より多いので、色々と条件を絞って興味を持てる求人を探してみましょう。
ただし、自分が良いと思った求人は、自分だけではなく他人も良いと思っています。
そのため、他の人に取られないように、ある程度吟味して「これだ!」と思える求人を見つけたら早めに応募するのがベターです。
仲居の仕事は大変な部分も多いですが、日本の伝統的なおもてなしや、品格のある女性らしい振る舞いを身につけられる楽しい仕事です。
リゾートバイトに興味がある人は、是非一度飛び込んでみてはいかがでしょうか。